-オナルプスの手違い-

映画の感想やら日記やら告知やら。基本的にネタバレなし。

ジャンゴ 繋がれざる者

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監督:クエンティン・タランティーノ

 

アカデミー賞で脚本賞を受賞したタランティーノの西部劇ならぬ南部劇。

タランティーノ監督のジャンゴということで映画的遊びが満載で爆発しまくり血飛びまくりかと思いきや、まさかまさかの超がつくほどの優等生映画だった。

 

ジェイミー・フォックス演じる黒人奴隷ジャンゴとクリストフ・ヴァルツ演じる元歯医者で賞金稼ぎのキング・シュルツがタッグを組みジャンゴの妻を救いに行く物語。シンプルな物語をこの通り飽きさせずテンポを崩さず真っ当に最後まで気持よく描ききった脚本は見事。

それに加え、役者陣の演技がとても素晴らしかった。脇をやらせれば完璧すぎる仕事をするクリストフ・ヴァルツは今回も魅力を爆発させていた。もっともっと彼の演技を見たくなるし、あれほどクレバーでおちゃめな紳士はヴァルツ本人にしか出来ないであろう。流暢なドイツ語がさらに役の説得力を持たせている。

そして悪者はレオナルド・ディカプリオ。これが最高だった。アイドルスターを演じてきたからこそ滲み出る金持ち馬鹿おぼっちゃま感は本人が心から楽しみ、理解しながら演じていたに違いない。顔がいいからこそ冷徹な表情も映えるし、激情も光る。あの笑い方はまさに悪者。やはり悪者は超イケメンが超ブサイクに限る。

この映画でもう一つ素晴らしい仕事をしていたのは、タランティーノ映画では定番だけど音楽がとんでもなく良かった。既存の曲の選曲のセンスもさることながら、オリジナルもバッチリ。少し気になったのは、歌詞が出る曲と出ない曲があったこと。歌がある曲を使用するということは、少なからず歌詞に意味合いを持たせているはずなので字幕は出して欲しかったな。歌詞が簡単だったから少しは理解出来たけど、ちゃんと読みたかった。

 

それでも、なにか物足りない。それは、この映画に対して俺が期待していた遊び要素が足りなかったこと。歴史の理解が浅かったり、ジョークを理解していない俺が原因なのだと思うけど。コレは俺個人の感想なので、外すと上記のとおり素敵な優等生映画である。そう、優等生。てっきりジャンゴは不良映画だと思ってたんですよ。そしたら、不良の顔した優等生でした。俺は逆が好きなんです。優等生と思ったらキチガイでしたってのが。とても面白かったけどトップ10には入らないかなあ。

 

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楽しそうな表情しやがるぜレオ様!!!