クールな男をクールに描かなかった謎の映画『スティーブ・ジョブズ』
監督:ジョシュア・マイケル・スターン
言わずと知れたAppleのCEO、スティーブ・ジョブズの伝記映画。
普通が嫌でとにかく洗練されたものを求めた男を描くのに、ここまでノーマルなメロドラマにして誰が楽しめるのだろうか?
こんな天才でも人間的な部分があって、葛藤したり悩むんだ!とでも言いたいのか。ジョブズはプレゼンの時にBGMで観客の感情を煽ったりしたか?この映画を観るなら、普通のドキュメンタリーを観てiPhoneのプレゼンを観たほうが何倍も面白い。
主演のアシュトン・カッチャーは非常に良かったのに、それを全て潰しにかかるような演出には参った。しかも、オチが最悪。現代と何も繋がらない。彼が死んでも、その発明は生きているのだという大切な事は一切表現されていない。腹立つ。
そりゃあ嫌でも、マーク・ザッカーバーグを描いた『ソーシャル・ネットワーク』と比べちゃうじゃないですか。そりゃあもう、ヒドいもんですよ。
Appleがこの映画を全然推さない理由がよく分かった。そう、この映画はAppleと違い、全くクールじゃない。
そう、言いたいことを言うんじゃなく、表現するんだって。