-オナルプスの手違い-

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これぞ、叛逆への叛逆物語。(ネタバレ有り)『劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語』

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監督:新房昭之、宮本幸裕

 

このアニメに特別思い入れがあるわけではないが、脚本の面白さは十分理解しているので鑑賞。まず、まどマギ映画の後編、もしくはアニメシリーズの終盤をよくよく見返してからの鑑賞をオススメする。オススメというか、必聴である。

 

とにかく冒頭から観客に、今までの設定がどう活かされるのか全く想像させない怒涛の展開が続く。しかも、アッパーなテンション、そう、所謂”魔法少女”というアニメジャンルの王道のような始まりを見せるのだ。だが、相変わらずのまどマギらしさ全開の抽象画風演出で対比され、より一層不気味な雰囲気を出す。

そして、その"違和感"は観客だけではなく出演しているキャラクターも気付いてしまうという体感型な演出には驚いた。朝日を浴びながら皆で共闘する喜びから違和感に気付く感情をほむらちゃんのアップで微妙に変化していく表情は上手い。ここから、この世界は誰が作ったのか?というほむほむの捜査が始まる訳だが・・・。

 

最初に声をかけたのが杏子だったのは納得。一番設定が変わっているという点に気付くのが面白い。地元へバスが行かないというのは色んな箱庭映画を思い出した。だが、もしほむほむが隣町に行ったことがあって場所を知っていたのなら、この時どうなったんだろう?と気になってしまうが。

杏子の下りが終わり、ほむほむは以前のほむほむを取り戻す。ここからメガネほむほむではなく黒タイツほむほむに戻る。この”黒タイツ”というのが、まさかシリーズ通しての伏線になっていたとはこの時はまだ知る由もないのである。

黒タイツほむほむ、つまりは最終回の赤リボンほむほむ、ここで"存在しないはずの者"のことに気付き、べべに真相を問い詰めるためマミさん宅へ。そして、この映画最大のアクションシーンである”ほむほむVSマミさん”のガン=カタアクションになるのだ。この二人の戦いはファン全員が観たかっただろう。魔法銃VS実弾兵器って熱いに決まってるじゃないか。最高じゃないか。素敵じゃないか。とにかくカッコ良かった。

 

その後色々あるが、"存在しないはずの者"である、さやかちゃんとべべがこの世界の真理を理解し、ほむほむのために頑張っていたという流れになるのは脚本の上手さとしか言いようがない。その頑張りにより、何度も地獄巡りをしてきたほむほむがやっと天に召される・・・ファン感動・・・キャラ皆感動・・・そんなシーンを誰がぶっ壊すのかな〜とニヤニヤしてたら、まさかほむほむ自らがぶっ壊しに来るとは思わなくて震えた。

きゅうべえが言っていたまどかの運命線が何重にも絡まるのは当然まどかだけじゃないよな、ほむほむもだよなと納得。ほむほむしかまどかの対の存在になれない。

 

ここから勝手な推測になるのだが、タイトルの『叛逆の物語』というのが終盤の悪魔ほむほむ展開の意味なんだろう。この叛逆という意味合いはネガティブで、BGMもかなりダークになっている。だが、実際に叛逆したのはまどかがアルティメットまどかになって世界の理をぶっ壊した事であり、その叛逆を悪魔ほむほむはやってのけた。まどかを苦行から救い出したほむほむ。この映画は叛逆に対する叛逆の物語なんだなと納得している。

恐らく、ラストシーン近くは感動的なBGMを変えると、全ての負を背負ったほむほむに見えるはず。そうすると、叛逆ではなく、ほむほむのまどか救済の物語になるのだ。

 

ま、シリーズ最高の伏線が、まどかが白ニーソで女神、ほむほむが黒タイツで悪魔っていう暗喩だったのは仰天したよ。二人の制服姿の足が並ぶ終盤のカットには震えました。ありがとうございます。

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